豪の最高研究機関でのインターン!彼女が掴んだ道とは-- トビタテ!留学経験者インタビュー Vol.12後編

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彼女が選んだインターン先は、なんとオーストラリア最大の研究機関「オーストラリア連邦科学産業研究機構(通称:CSIRO"シーロ")」でした。グリフィス大学での留学を経て、海洋生物学の研究の道を進むことに決めたトビタテ生の大野礼奈さん。「ビーカーって英語で何て言う?」「この薬品の英名って?」難しい英語が飛び交う現場、国際的な科学研究機関で行った実践的なインターンシップを通して、彼女が見つけた道とは?

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前編はこちら
オーストラリアの海に魅せられて3度の留学!?-- トビタテ!留学経験者インタビュー Vol.11前編

今回インタビューしたトビタテ生

大野さんの留学中の写真

大野礼奈(おおの れな)さん

トビタテ(※)1期生として、オーストラリアのブリスベンへの留学とインターンシップを経験した大野礼奈さん(写真左)。

グリフィス大学での授業を通して、自分のやりたいことを確信することができた経緯を前編にてお伝えしました。後編の今回は、大野さんがどのようにしてインターン先を決め、どのような経験を経て何を得られたのかに迫ります。

※トビタテ=トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム。官民協働の留学支援制度で、返済不要の奨学金が給付される。

自分の手で何かを創りだすインターンがしたい

ーー トビタテではインターンシップなどの「実践活動」が重要になりますよね。大野さんが選んだのはオーストラリア連邦科学産業研究機構(以下、CSIRO)でのインターンシップでしたが、これはいつ頃決めたのですか?

トビタテに応募したときは観光業に関する実践活動をする予定でした。ですが、大学での授業を受けて研究の道をもっと見てみたいなと思うようになりました。その時点で、観光の選択肢は捨ててましたね。

ーー その気持ちの変化をもたらしたのは、具体的にどのタイミングだったのですか?

実は大学の授業期間にも週1回のパートタイムで他の団体のインターンをしていました。事業内容はウミガメの保護だったのですが、仕事はデスクワークだったので自分の目で見て触れないのは面白くないと感じました。

だから長期のフルタイムのインターンは、現場で何かできる仕事がいいなと思ったのです。また、自分の手で何かを創りだすことをしてみたいと思い、オフィスワークから現場職に仕事を変えました。

ーー その条件において、CSIROは大野さんのやりたいことに合っていたということですか?

現場で仕事ができるインターンで、海に関わるような仕事を探していて出会ったのがCSIROでした。大学の課題でもよく利用していたのがCSIROの論文で、オーストラリアで一番大きな研究所なんです。

私のレジュメを見てCSIROからオファーをもらうことができました。「こういう研究をするチームの枠が空いているから、どうですか?」って。その研究内容にも興味があったので、引き受けました。

インターンの研究対象は…マンタ?

CSIROの研究室
CSIRO

ーー 具体的にはどんなお仕事をされたんですか?

プランクトンの研究です。具体的には、マンタがプランクトンを食べているときの海水の状態と、マンタがいない時の海水に含まれるプランクトンを比べて、海水の中に何が多い時にマンタが食べに来ているのか、つまりマンタの好き嫌いを調べる研究でした。

ーー どれくらいの範囲の仕事まで任されましたか?

プランクトンを扱うのも、使用する器具も、私にとっては初めてのものばかりでしたが、研究者の使うデータのほとんどは私がとったデータだったので、かなり大きな部分を任せてくれたと思います。

すごい量のサンプルがあったので、1日にどれくらい調査できるのか、次に引き継ぐ人のためにどこまで終わらせないといけないのか、すごく考えました。もし私がデータを偽装したら論文もそのままダメになってしまうので、責任は大きかったですね。

ーー 大学の授業で学んだことは活かせましたか?

大学でもプランクトンに関する授業があって、資料の上ではプランクトンについて知ることはできました。ですがインターンで実際に海水のサンプルを見て、「これがあのプランクトンなんだ」と合致できたのはとても面白かったです。

あの授業を受けていなかったらプランクトンについて全くのゼロのスタートになっていたので、その意味では授業からインターン内容が繋がって嬉しかったです。

また、グリフィス大学で海洋生物学に関わっている人にはCSIROで研究している人が多かったのも良かったですね。大切な繋がり・コミュニティーを持つことができました。

大変というより、「悔しい」

ーー インターンシップで悩んだことはありましたか?

やりたいこと、好きなことをできていたので満足度は高かったのですが、日常英会話以上の会話、例えば「ビーカー」などの器具や薬品の英名はとても難しかったです。

操作を一歩間違えたら死ぬかもしれない研究環境で、英語の指示を聞き取れないと致命的になってしまいます。それが苦痛でした。

やっていることは単純だったので、言われれば普通に分かることなのに、動けない。大変だった、というより悔しかったです。「この分野で英語ができるっていうのはこういうことなんだな」と感じました。

ーー どのようにして乗り越えたのですか?

同じ実験を繰り返しやることで、技術的に作業を理解できるようになっていきました。ボスがポルトガル出身の人で、彼も英語は第二言語だったので私の気持ちを分かってもらえたのも嬉しかったです。

彼は分かりやすく教えてくれたり何度も何度も聞いても恥ずかしくない環境を作ってくれたので、「分からない」ということを伝えられるようになりましたし、自分でも分からないことは調べられるようになりました。

例えば「明日はこれやるけど、これが分からない」となった場合、単語を知っていないとなかなか調べられません。最初はそれが難しかったのですが、実験を繰り返すことで、そこから学んだ知識を活かして調べることができるようになりましたね。

ゼロからイチは大変ですが、そこからは「どれだけ自分で調べられるか、聞けるか」だったので、もちろん大変でしたが苦痛ではなかったです。

思いがけないクリスマスプレゼント

ーー CSIROは国際的な環境でしたか?

そうですね。色んな国から研究者が来ますし、オーストラリア自体が移民の国なので。韓国出身であっても、オーストラリアで育っていればオーストラリア人だという場合もありますし。「みんなが違う」というのが前提にあるので、みんながお互いに意思を「伝え合おう」としているのが印象的でした。

ーー CSIROでの仕事で、やりがいを感じた瞬間や嬉しくなった瞬間はいつでしたか?

11月から1月末までのインターンだったのですが、クリスマスの前にボスがチームのTシャツを贈ってくれたんです。「あなたはインターンだけど、仲間として同僚のように思っている。だからこれを着てね。」という言葉をもらいました。

私をインターンではなく仲間だと言ってくれたのがとても嬉しかったです。

さらに、「あなたは誰よりもコツコツと働いてくれた。これだけやってくれると思っていなかったから、働いてもらえて良かった。」と言ってもらえたのが何より嬉しかったです。この言葉をくれたのは、あの有名な科学ジャーナル「Nature」で論文を何本も出しているとても偉い方でした。

もちろん、「インターン生として良かった」と言ってくれているのだとは思ったのですが、実際にCSIROのような国際的な研究機関でも色んな国の人たちと一緒に働くことができるんだ、という自信になったので嬉しかったです。

ーー インターンとして心がけていたことは何ですか?

「求められてるものを作り出すこと」を心がけていました。パートタイムのインターンをやっていた時に、きちんと指示を理解できていなかったために提出したものが「これじゃない」と言われてしまった経験をしました。それじゃ役立たずだな、と感じたのです。

だから、CSIROでは求められたものをちゃんと理解して、作り出すことを意識していました。分からないことは聞く。要求を理解して、それに応える過程で自分で勉強すること。それは礼儀の一つでもあると思います。

ーー その経験を通して、何か気がついたことはありましたか?

好きなことがやっぱり好きだと分かりましたね。私は自分の目で見て、自分で作り出すのが好きなんです。そして海に関する研究も。ああ、やっぱりこれだなって思いました。

それが就活にも繋がりましたし、とても楽しかったし、また戻ってきたいって思うようになりました。

消えることのない、人生の2本の線

ーー トビタテ応募時の留学計画書に対して実際の達成度は100点満点中何点ですか?

30点ですね。当初の計画のテーマからは、大きく違うものになりましたから。でもやりたいことができたか、の観点から考えると満足度は80点です!残りの20点は、大学でもっと友達を作って楽しむことができなかった、人と知り合う勇気があんまり出せなかった、という理由ですね。

ですが良かったと思うのは、無理やり計画書に書いてあったことじゃなく、「自分で作り出すことがしたい」ということに留学の早い段階で気が付いてシフトすることができ、留学後の進路にも繋がったことです。留学がゴールではないので、次の新しい道を作り出すことに繋げられたのが良かったです。

ーー 将来はどのような道に進むのですか?

私の人生には2本の線があります。ひとつは「海」。もうひとつの「化粧品」という線は10歳からずっとありました。トビタテ応募時の留学計画書では「海」をとりました。でも留学してみて「研究したい」と思うようになって、就職先は「化粧品」に変えました。

とは言っても、「海」の線も模索し続けています。海にもたくさんの生物がいて、そこから生物由来の化粧品ができるんじゃないかと思ったのです。それを周囲に伝えていたら、それができる会社に出会うことができました。そこなら、私の2本の線が交わると思い、就職を決めました。

トビタテの魅力は、分野を越えた繋がり

大野玲奈さんの留学の様子

ーー 留学を振り返って、トビタテのメリットとは何ですか?

大きいのは、やはりお金がもらえること。でもそれだけではなくて、事前研修、事後研修、同窓会などトビタテ生と会う機会はたくさんあって、違う学校、都市、学問分野の人と、留学っていう共通点で繋がっていられるのが魅力だと思います。

留学終わっても、ずっと繋がっていたいって思える学生に出会えたのはすごく良かったなと感じます。輪が広がったなと。それまでは理系の友達がほとんどだったのが、学問分野を超えて「留学を通してこんなこと学んだ」って共有できる友達ができるのはすごく良かったです。

ーー では最後に、トビタテ生になりたいと思っている学生にメッセージをお願いします。

これまでやってきたことをカッコつけるのではなく、海外で自分が何をしたいのかハッキリさせて応募してほしいです。トビタテ生になれば、たくさんの人に出会えます。だから自分を大切にした上でチャレンジしてほしいです。

私たちも新しい人たちに会えることをとても楽しみにしています。チャンスだと思って応募するなら、ぜひ頑張ってほしいです!

まとめ

いかがでしたか?オーストラリア留学、そしてインターンシップを経て、自分が心からやりたいと思うことに気付いた大野さん。

彼女が留学中の体験や気付きを大切にし、未来に繋がる素晴らしい決断ができた理由は、すべて「留学がゴールではない」という言葉に表れていると思います。

私も大野さんのように、留学先で得られる経験や気付きを次のステージに繋げられる人でありたい…。私だけでなく、すべての留学生の心に響く言葉が詰まった、素晴らしいインタビューとなりました。

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THE RYUGAKU [ザ・留学] 編集部です。留学コニュニティサイト『アブログ』も運営しています。

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