将来はイスラム教徒の人口が1位になる?タイでも推進されてきているḤarāl(ハラール)製品とは?
8446
View
スポンサーリンク
タイは縦に長い地形のため南部はマレーシアと陸続きになっています。そのため、タイ南部は仏教の国とは少し雰囲気が変わって、イスラム文化の影響も大きく受けています。しかしタイに限らず、今や世界的にもイスラム教徒の割合が増えてきており、将来的にはキリスト教を抜いてイスラム教を信仰する人口の割合が1位になるとも言われています。そしてタイでもイスラム教で「合法」を意味する「ハラール」と言われる商品が多く見られるようになってきています。今や世界でも徐々に増えきている「ハラール」とは一体どのような物を意味するのでしょうか?
スポンサーリンク
ハラール認定を受ける傾向が多くなってきたタイの食品工場
現在世界で最も多く信仰されている宗教はキリスト教です。しかし各国の人口の伸び方から、将来的には現在2位であるイスラム教がキリスト教を抜いて1位になるというデータもあります。
イスラム教にはコーランと言う聖典があり、その中ではアッラーと言う神の教えを説いたり、さまざまな食品や行為をイスラム教徒にとって合法な「ハラール」と、非合法である「ハラーム」と言うものに分けています。
そのためイスラム教を信仰する者は、このコーランの教えに従って生活しており、その中で非合法になる食品を摂取することも禁止しています。そしてハラールとは単に食品を指すだけでは無く、その食品がどのように、誰によって加工された物か、ということまで指定されています。
つまりその決まりに従って加工されていなければ、口にしたり手に取ることも出来ないのです。よってイスラム教徒の人達はスーパーでも「ハラール」のマークが付いていない商品は購入できないことになります。
そのため多くの加工食品を生産して輸出しているタイでも、近年イスラム教徒向けに「ハラール」の認定を申請・取得する工場が増えています。そして認定を受けた工場で生産された製品には、パッケージにアラビア語で「حلال(ハラール)」と表示することが許可されます。
イスラム教徒における合法の定義とは?
イスラム教では、豚(または豚肉を使用した加工食品)や犬の肉、他にも衛生、安全面から「一定の決まりに従って屠殺されていない家畜」を食べることと、アルコールを含む製品の摂取を禁じられています。
私たちが普段口にする加工食品の中には、ポークエキスと呼ばれる添加物があったり、風味付けにお酒が使用されることがありますが、これも当然ながら「非合法」になります。
つまりハラール認定を受けた工場とは、これらを工場内で一切取り扱わないという証明になります。もしも以前に豚肉を取り扱ったことがある工場や飲食店がハラールの申請をする場合は、まず施設全体の洗浄や宗教的儀式などが必要になります。
スポンサーリンク
触ることも不浄とされるイスラム教の教え
イスラム教徒のことを通称「ムスリム」とも呼びますが、敬虔なムスリムは豚はもちろん、加工されて箱詰めされている豚肉製品にすら触れることができないのです。つまりムスリムの人達が飲食に携わる仕事に就くとすれば、ポークフリー・アルコールフリーのお店を選ばなくてはなりません。
ムスリムの多い国で豚肉を扱うお店や、食肉工場などに従事しているのは、中華系の人達かイスラム教を信仰しない人達のみ。このように単に口にしないだけではなく、従事することができる仕事も制限されるのがムスリムの人たちなのです。
ムスリムだけでなく多くの人にとっても安心出来るハラール製品
しかしハラール製品とは単に、イスラム教徒向けに作られた製品と言うだけではないさまざまなメリットがあります。
ハラール製品はその動物の存在自体では無く「安全・衛生的・健康であること」を定義に、飼育工程からも細かく指定されているからです。例えば病原菌を含む可能性のある動物や飼育環境、人体にとって有害・不浄とされる物を含む餌を与えて飼育した家畜は、ハラール製品に使用することを禁止されています。
他にも海産物を使用するのであれば天然物をメインとし、養殖であれば安全な餌で育てられた物を使用します。野菜でも無農薬野菜や自然な物、遺伝子組み換えをしていない物など、素材から添加物まで厳しく審査された物がハラール製品であるからです。つまりこれらはムスリムの人たちだけではなく、全ての人が安心して口にできる食品ということになります。
まとめ
日本では宗教の概念を持つ人が少ないため、普段食べる物について考えたことがある人もあまりいないのではと思います。しかし世界ではこのように、宗教的な面からも安心して良い物を食べるべきであるという考えが浸透している国もあります。
留学生の皆様もタイのスーパーで買い物をする際に、このハラールマークの付いた製品を探してみてはどうでしょうか?
スポンサーリンク
イスラム教の人気記事
この記事に関するキーワード
この記事を書いた人
タイ在住。タイの南部からバンコクに引っ越してきました。お寺巡りとプラクルアン集めが趣味。休暇はタイの南の島でシュノーケリングするのがお決まりの過ごし方。