ふんどしを通じて見つけた本当にやりたいこととは?-- トビタテ!留学経験者インタビュー Vol.9後編

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トビタテ!留学JAPANのプログラムで、イタリアのミラノへ留学した星野雄三さん。事前に立てた計画通りに物事が進まず、苦労されたときもあったようです。その経験が今、どのように生かされているのでしょうか。その詳細について、この記事で詳しくお伝えしていきます。留学先、留学テーマに関しては前編の記事をご覧ください。

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今回インタビューしたトビタテ生

星野雄三さん

ミラノへ留学しふんどしを究めた星野雄三さん

イタリアのミラノにスーツについて学ぶためトビタテ※プログラムでトビタった星野雄三さんにインタビューしました。星野さんが留学中に経験した苦労、悩み、挫折とは一体何だったのでしょうか。早速、インタビュー後編に入っていきましょう!

※トビタテ=トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム。官民協働の留学支援制度で、返済不要の奨学金が給付される。

前編はこちら
ミラノでスーツ研究からふんどしに移行!?-- トビタテ!留学経験者インタビュー Vol.9前編

留学テーマが自由であるが故の悩み

ーー 前半のインタビューで、自身の留学に関して「結局失敗した」とおっしゃっていましたが、具体的に留学中に悩んだことや困ったこと、苦労したことなどを教えてください。

トビタテは、テーマの決まった交換留学にはいいと思うんです。でも、僕は全部自分でテーマ設定してストーリーを決めてしまったので、それを守らなきゃっていう風になってしまったんですよ。自分で作ったプランを達成しなきゃいけないということと、国から奨学金をもらっているというプレッシャーとで、留学生活が全然上手くいかないことにすごく焦りました。

最初の半年はただ語学学校に行っていただけで、何も物事が進みませんでした。元々就活をする気はなくて、帰ったらすぐ卒業だから、ここで何かやりたいことを見つけないと無職になるみたいな焦りがあって。

一方で、イタリアでの生活は毎日楽しいし、ご飯は美味しい。お金とビザさえあればいくらでもいられるっていう生ぬるさもあって。そういう意味での体の心地よさと、今後の未来の不安感がごちゃ混ぜになって、苦しんでました。

ミラノに留学するものの、物事がうまくいかない星野雄三さん

ーー 何も物事が進まなかった、ということは、トビタテで留学前に立てた計画通りにいかなかったということですね。計画を立てる段階で、最初はどういうことをしようと考えられてたのですか?

そもそも僕は、1着何十万もするようなスーツ店でインターンをする予定だったんですけど、イタリアに行ったらドタキャンされて、というかいきなり連絡が返ってこなくなって、何もできなくなってしまったんです。テイラー1人1人に連絡もしたんですけど、1日くらいは相手をしてくれてもその先はありませんでした。テイラーでの取材も数人したら終わってしまったので、残りの留学生活をどうしようっていうのが不安でした。

イタリア語がよっぽどペラペラとかでない限り、イタリアでインターンをやるのは外国人にとっては難しいですね。イタリア人ですらイタリアで仕事を得られてないので。他に仕事をするとなると普通のバイトとかになるんですけど、わざわざ東大の修士2年で、しかも一番やりたい仕事を確立したい時期にバイトしようとは思えなかったので、ちゃんとオフィスカンパニーに行きたかったんです。でもそれも引っかからなかったので、もう何も上手くいかなかったですね。

ーー そうだったんですね。しかし直前でドタキャンはひどいですね!そういうことって結構頻繁に起こるものなんですか?

例えば、交換留学で最初の日に寮が全部埋まってるって言われて、泊まる場所が無い、みたいな場合はお金で解決できると思うんですよ。けど、僕の場合はお金はあるけどそれで解決できるものではなかったんです。

日本のルール感で進まないというか。僕イタリア好きですけど、イタリアで会社に入ることは一切したくないですね。普通に就活するんであれば、日本が一番心地いいに決まってるから。

ーー なるほど。では、トビタテで事前に立てた留学計画の達成度を100点満点で表すと何点くらいでしょうか?

達成度は5点くらい。何も達成できていないですね。現地で作った友達関係が価値があったなあって思うくらいで、僕がやろうって思ってまっすぐ道筋を立てたものは全く機能しなかったですね。

イタリアで築いた価値のある友人関係

イタリアのミラノに留学中に星野雄三さんが築いた友人関係

ーー スーツ店やテイラーを巡る際に様々な人との出会いがあったと思うのですが、中でも特に印象に残っている人はいますか?

2人いますね。1人目はナポリ人のテイラー。日本人のテイラーってすごいまじめで、それで食べていけるかどうかも分からないのに針を数十年握り続けるって、よっぽどの人じゃないとできないと思うんです。

でもイタリアのナポリでは、美しい服を作って気軽に着ていられればそれでオッケーみたいな、そういう文化が自然にあるですよ。そのテイラーは本当に気楽で、ノリがあまりにも軽くて。その生き様というか、ライフスタイル自体にすごくカルチャーショックを覚えました。

ーー なるほど。もう1人はどんな方でしたか?

2人目は茶道のプロ。ベルギー人の貴族っぽい紳士なんだけど、茶道に僕よりも詳しいんです。家に茶室があって、ヨーロッパ中から達人みたいな人たちが集まる茶道の合宿みたいなのがあったりして。

気品の高さ、落ち着き、貴族的な生き方。僕たち日本人が失った精神性を逆にヨーロッパ人の彼が持っていて。逆に日本人としてのプライドというか、誇りを思い出さないといけないなっていう風に感じましたね。

ーー 2人とも、全く正反対のタイプだったんですね。そういった貴重な出会いも、留学の醍醐味だと思います。

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イタリア留学を振り返って

ーー 今留学を終えてみて、もし留学前の自分に何かアドバイスできるとしたらどのようなことを言いたいですか?

「1回全てプランを捨てる勇気を持ちなさい」って言いたいですね。極端な話、僕は留学に行かなくてもよかったかなあってくらい何も上手くいかなかったので。留学を後悔はしてないですよ。結果的に今はやりたいことをやれてるから、この挫折がなければ絶対だめだったんだけど。でももう少し自分の心の声に素直になってもよかったかなあって思って。

僕はスーツを作る過程よりも、どちらかというと「男をかっこよくするためのものをどう作るか」「どうやって人は美意識を持つか」や、「スーツを着た男たちの物語」に興味があって。今のふんどしも割とそういう分類なんだけど、「着た人間がどうやって自己表現をするか」とか、「どういうライフスタイルを歩むか」っていうことに興味があるんですよね。

必ずしもスーツじゃなくてもよかったんです。だからもうちょっと白紙にする勇気というか、戻る勇気っていうのが必要だったなあって思って。いつでも振り出しに戻れるんだよってことを言いたいですね。

ーー また、他の留学プログラムではなく、トビタテだったからこそ成長できた点は何かありますか?

留学中はあまりないですね。仲間のところに遊びに行くくらいしかできないので。でも、日本にいるときに何か困ったときに助けてくれるコミュニティが強固になりました。横のつながりがフェイスブックとかでちゃんとグループになってるので、それが一番良かった点ですね。留学前後でのコミュニティとして役立ち、機能してる。

ーー その留学前後のつながりを持ったからこそできた経験はありますか?

この前、トビタテのメンバーでふんどしファッションショーをやったんですよ。僕は指示しただけで、あとは他のトビタテの子たちが主体的に動いてくれました。僕だけじゃ絶対できなかったし、まずやる気になると思えなかったけど、「星野さんやってください!」って言われて。

他のみんなが頑張ってくれたから、自分は指導に徹することができたし、みんなが満足できる企画にすることができた。そういう経験ができたのも全てトビタテのおかげかなって思いますね。

ふんどしファッションショー

今後の目標は…世界侵略?

ーー 星野さんの今後の目標を教えてください。

全世界の男にパンツを脱がせてふんどしを穿かせる侵略を行うつもりです。というのは冗談で、ふんどしを始め、複数の事業を行っているので、社会にとってイノベーティブな、新しい価値を提供するような形にした上で、企業活動を行っていきたいと思っています。また、数字で言うならばこの事業をまず、億規模にすること、それがこの会社でやるべきミッションです。

ーー 最後に、これからトビタテに応募しようと思ってる学生や、留学を考えている学生に向けて、メッセージをお願いします。

日本は島国だから、民族学的に場の空気を読んだりすることが上手いと言われています。だから、その分、反動なのか、一度海外に出た日本人は一般人と異なる、もっというと、狂ってる人が多いんですよ。ある意味、そういう日本文化への反発として海外に出てるわけだから。

だから、人として尖ってる方がこれからは時代性としても価値があると思います。これから留学する人はいかに個を磨くか、尖らせるかっていうことは価値を置いていいと思っています。

海外だと日本人ってすごくクリエイティブだと思われてるんですよね。日本にいる日本人は「僕たちはクリエイティブじゃない」と思っていますけど。たぶんそれは海外に出た日本人がそう認識されてるんであって、日本にいる日本人がどういう性質なのか、世界の人は分かっていません。

いい体験ができるとか就活に生きるとか、そんなモチベーションで海外に出ても意味がないです。留学に行って日本人として価値を発揮したいと思うなら、日本の文化を徹底するとか、そもそも自分のルーツっていったい何なのかっていうことをもっと洗い出さないと、その留学期間ももったいないかなあって思いますね。とにかく尖ってほしいっていうのは、一日本人として期待したいです。

ーー 貴重なお話、ありがとうございました!

編集後記

インタビューを通じて、星野さんの力強い生きざまに非常に感銘を受けました。自ら考え行動し、ビジネスを生み出していく。このような人が、今後の日本社会を支えていくのではないかと思います。

これから留学に行かれる皆さんも、自分というものをしっかりと持って、目標に向かって充実した留学生活を送れるように頑張ってください!

インタビュアー

山本和香奈(やまもとわかな)/ 早稲田大学3年 / アブログインターン生

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THE RYUGAKU [ザ・留学] 編集部です。留学コニュニティサイト『アブログ』も運営しています。

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