ミラノでスーツ研究からふんどしに移行!?-- トビタテ!留学経験者インタビュー Vol.9前編
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スーツの研究をするために、トビタテ!留学JAPANのプログラムでイタリアのミラノへとトビタった星野雄三さん。現在は会社を立ち上げ、ふんどしを世界に広める活動をされています。スーツからふんどしへ移行したその理由とは一体何だったのでしょうか?前編では、留学先の選び方、留学テーマ変更の経緯についてお伝えします。留学中に経験した苦労、具体的な活動については、後編の記事をご覧ください。
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今回インタビューしたトビタテ生
星野雄三さん
星野さんは現在、株式会社ふんどし部を立ち上げ、日本の伝統的な肌着であるふんどしを広めるために世界各地で様々な活動を行っています。ミラノに留学された当時は、東京大学大学院の修士2年に在学し、筋肉の生理学について学ばれていました。
筋肉からスーツへ、さらにはふんどしへと、研究する分野が多岐にわたるトビタテ※留学経験者の星野さん。その背景にはどのような出来事があったのでしょうか?詳しいインタビューの内容に入っていきたいと思います。
※トビタテ=トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム。官民協働の留学支援制度で、返済不要の奨学金が給付される。
なぜトビタテ?
ーー そもそもどうしてトビタテ!に申し込もうと思ったか、そのきっかけを教えてください。
僕はいわゆる純ジャパで、留学する機会が無かったんです。その時もう修士2年に差し掛かってたので、留学に行くなら最後だなーって思ってて。その一方で、筋肉の生理学を学んでいたんですけど、当時もう筋肉の研究者になるつもりはなかったんです。
僕が知る限り、学問分野を変えて留学できるプログラムはトビタテ以外にはなかったんですね。そんな訳で、留学はひとつのチャンスだなーって思って。留学がずっとしたかったというよりは、これを見て留学というものがポッと浮かんできたというか、欲求が引き出されたというか。
ーー トビタテの存在を知ってから留学を決意された、ということですか?
そうそう。でも当時は、話だけ聞いて結局留学しないっていう人が多かったんです。選考があるからとか、書類がめんどくさいからとか、そこまで行きたいわけじゃないからとか。そう思う人も周りにはいましたが、僕は選考に挑むことにしました。結果行って良かったですね!
ーー 今おっしゃっていた選考についてですが、トビタテって選考の倍率が高いですよね。
いや、でも正直それはノーだと思う。他の奨学金だと、同じくらいの金額のものなら100倍くらいいきますよ。
ーー あれ、トビタテの倍率って…?
僕の初期の時で5倍くらい。5人に1人が1年間悠々と海外に行けるって考えれば、むしろ倍率は低いと思う。
ーー なるほど。その選考を突破するためのコツみたいなものって何かありましたか?
僕の場合やりたいって決めたら突き進んじゃうタイプなので、面接ではやりたいことをバーっと言っただけで、テクニカルなことを積んだわけではないんです。周りの合格者の中にはめっちゃ口下手な人もいたけど、それでも「この人ほんとにこれがやりたいんだ」って伝わってくる人ばかりでした。
だから面接のテクニックを使って表面上で良いことを言ってる人が受かる感じではなさそうだなと思いましたね。テクニックではなくて、自分のやりたいことをちゃんと対話した人のほうが受かりやすいなーと思いました。
なぜミラノ?
ーー トビタテの存在によって決意された留学ですが、なぜその行き先をイタリアのミラノにされたのですか?
僕はもともとスーツについて学びたかったんです。例えば、日本人って「和服って良いよね」って言う割には、あまり着物を着ないじゃないですか。海外におけるスーツもそれと同じで、40〜50歳のおじさんが着るとかっこいいんですけど、20代はやはりファストファッションに走ってしまうんですよ。どうしてこういうことが起きるのかな、どうすればそういう古き良きものがなくならずに今風に復活できるのかな、っていうことに興味があったんです。
特にイタリアに出たときに、これってイタリアと日本で同じ問題なんだなって感じたんです。イタリアはスーツ、日本は和服とかふんどしとか足袋とか。それを日本でもイタリアでも学んでいきたいなあって思って。そういう個人的な体験と、活動的な興味が両方合わさって、僕はイタリアにしようと決めました。
ーー そこで最初に「スーツ」というものに注目したきっかけは何だったのですか?
単純に、まわりの大人たちがかっこよくスーツを着こなしているのを見て、自分も男としてかっこよくなりたいっていうのが欲求としてあったんです。
ーー そうなんですね。また、留学中はELLCIという語学学校に所属されていたと伺いました。ここはどのように選んだのですか?
実はそんなに多くの学校の比較はしませんでした。イタリアで面白いのは、日本を含む世界中からオペラを勉強しに集まってくるから、まさかの日本語対応の語学学校があるんですよ。その中で2、3箇所連絡を取って一番反応が良かったところで、価格の面も考えて決めました。出願などの手続きも全てメールでできました。語学学校はあくまでビザを取るための手段に過ぎなくて、そこまで高いモチベーションはなかったですね。
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スーツを使ったビジネスを考える
ーー 語学学校にいる以外の時間は、具体的にどのように過ごしていましたか?
スーツのテイラーの取材をしたり、話を聞いたり、巡っていました。僕はビジネスをしたくて、スーツでどうやったらビジネスになるかっていう仮説を立てました。それでデザイナーと会って話したり、ヒントを探しに町を歩いたりしました。
ーー その「ビジネスを作りたい」というのは、もう留学前からずっと考えていたことなんですか?
いえ、留学の直前で決まりました。僕のテーマはスーツを作って、針職人になる、わけではなく、この文化がなくならないようにビジネス目線で、会社などで経験を積みたかったのです。
そのために、とある高級スーツメーカーにインターンとして働く事が決まっていたていたのですが、会社で働くことが破談になってしまったので、どうやって学ぶべきか、価値を生み出すべきか、ということに結構苦しんでいたのです。
テイラー達もみんな1日なら会ってくれるし話も聞いてくれるんだけど、何度も相手をしてくれるかってなると、なかなか難しくて。だから何か明確なテーマを決めてからじゃないと何も動けないなーって改めて思いました。結果僕は失敗したんです。
スーツからふんどしへ
ーー 星野さんは、現在はふんどしを中心に活動されていますよね。そもそも、なぜ「ふんどし」なんですか?
今は取締役と二人でふんどし部をやっているんですけど、その彼が最初、ふんどしマンと名乗り、ふんどし一丁で活動しておりました。僕は彼と一緒に住んでたので、一緒にふんどしを広める活動をしていて、その様子をシェアハウスで見てたんです。
彼は活動ベースだったんですけど、僕はふんどしの生地の方に注目したんです。ふんどしは伝統文化として着られなくなってきているけど、実はこの生地ってスーツ作れるんだよなあって思ったんです。「昔使われていたものを今風にどう使うか」っていうのが、ふんどし部においてもイタリアに行くときも僕のテーマだったので。
以前、新潟県の麻を使ったふんどしを作って、一方でこれでスーツも作れるっていうことを「TEDx」で留学前にプレゼンしたんですよ。どうやってそういう伝統文化をリバイバルさせるかみたいな。そこがきっかけでした。留学の内容はスーツだったんですけど、ちょっとずつイベントとしてふんどしで歩いたりするようになりました。
ーー では、留学中どのようにスーツからふんどしに移行していったのですか?
ある日僕の家で、ふんどしステーキイベントっていうのをやったんですよ。僕がふんどし1枚でステーキを焼いて、みんなで肉を食べたり僕が作った和食を食べるっていう。
すると、外国人たちはすごく喜んで来てくれるし楽しんでくれたんですよ。ふんどしに興味があるというよりは、「ふんどしを着てる僕」がワクワクしてて楽しそうだから、じゃあ自分たちもやってみようって思ってもらえたんです。
日本人がスーツやろうって言っても誰も興味持たないんですよ。日本人が日本のことを堂々とやってる方がよっぽど外国人は喜んでくれて。
そこで、スーツでは何も成果を残せてない中で、趣味としてやってたふんどしの方がよっぽど上手くいっていたことに気付いたんです。というか、ふんどしを真剣に売ろうとする日本人なんて今までいなかったけど、なんで逆にいなかったんだろう?って思って。
だからそれをひとつのスタイルとしてやってみようって考えたんです。外国の文化ではなくて、日本の文化で勝負すると決めた感じです。今はまだチャレンジの段階ですね。
インタビュー前半を終えて
留学と聞くと、外国語を学び、現地特有の文化を学ぶというのを多くの人が想像すると思います。そんな中で、改めて日本に視野を向けて、それをビジネスとして発展させていこうという星野さんの考えは、私にとって非常に新鮮で驚くべきものでした。ただ、スーツのビジネスを考えていた段階で「結果僕は失敗した」とおっしゃっていたのが気になりました。一体留学中に何があったのでしょうか…?インタビュー後半にご期待ください。
インタビュアー
山本和香奈(やまもとわかな)/ 早稲田大学3年 / アブログインターン生
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