アメリカの社会は飲酒に不向き?アメリカで生活してからお酒を飲まなくなった理由
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私はアメリカに住むようになり、徐々にお酒を飲まなくなりました。もともと日本にいた時からお酒を飲む方ではなかったのですが、現在のようにほとんど飲まなくなったのは、「アメリカの社会」がそうさせたように思うのです。今回はその「アメリカの社会」を紹介しながら、私がお酒を飲まなくなった理由をお伝えします。
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私は米国に滞在して16年、徐々にお酒を飲まなくなってしまいました。現在では年に数回ビールを飲むぐらいで、基本的に晩酌もしません。
お金と健康、両面にプラスですが、お酒を飲まなくなったのはそれではなく、アメリカという社会が飲酒に対して日本より寛容ではないことが起因しています。
そこで今回は「なぜ私がお酒を飲まなくなったのか」について話をします。
学生ビザ剥奪で強制送還
16年前、アメリカで大学院生だった私は学生寮でコンパに参加しました。当時、私はキャンパスの寮に住んでいて、アメリカの大学生との初めてのパーティーを楽しむ予定でした。
パーティーにはアメリカ人の学生、並びにアジアや中東などからの留学生もいて、賑やかな雰囲気でした。
パーティーの最中、私がトイレから部屋に戻ろうとすると、知人のアメリカ人の女性が私を部屋に引き入れます。男性としては少々興奮するシチュエーションでしたが、現実は違い、彼女は私に黙るよう諭し、パーティーの部屋を指差します。
二人で部屋を覗いてみると、University Police(大学付属の警察)が、全員のIDを確認中。おそらく寮の誰かが未成年が飲酒をしていると通報したようです。
当時、私は飲酒が合法の21歳以上でしたが、数人の留学生が未成年と発覚、学生ビザがキャンセルされ、帰国を余儀なくされました。私がアメリカでの飲酒に対する姿勢が厳しいことに気付き始めたきっかけです。
日曜日にお酒が買えない町
大学院を卒業して就職した私は、サウスカロライナ州の小さな町で半年間の研修を受けました。その地域は「Dry County(※)」の一画で、日曜日はお店で酒類の販売が禁止でした。
お酒を飲みたかったら事前に購入し、自宅で飲むしかありません。街に一軒しかないバーは、治安の良い場所になかったので日本人は寄り付かず。他の邦人の方々は、自宅で飲酒を楽しんでいるようでした。
※Dry Countyとは「禁酒郡」の意味します。地方行政当局が酒類販売を禁止したり、制約している郡を指します。禁酒郡の中には、その場での飲酒は可、持ち帰りが不可である群や、持ち帰りは可、その場での飲酒が不可の群、または両方とも禁止している群があります。
飲酒のために運転が要るジレンマ
現在、私の住んでいるミシガン州はDry Countyではありません。しかし、外でお酒を飲みたかったら車を運転してお店に行く必要があります。よって飲酒運転が必須になる皮肉になってしまうのです。
州によって運転しても構わないアルコールのリミットが決められています。日本の飲酒運転の基準値は呼気1リットル中0.15ミリグラムですが、ミシガン州は0.08ミリグラムと厳格に規定されています。せっかく車を出して飲みに出掛けても、大した量を飲むことができません。
免停 = 仕事も生活もできない
入社当初、こんなことがありました。
私の会社には当時、グリーンカード保持者で単身赴任の鈴木さん(仮名)がいました。鈴木さんは、会社のクリスマスパーティーでお酒を飲み、帰りに飲酒運転の現行犯で逮捕、翌朝まで留置場に拘束され、免許停止の処分を受けました。
アメリカでは、たばこを買いに行くにも車が必要です。運転ができないと会社にも行けません。よって誰かが鈴木さんを迎えに行き、会社まで連れて行く必要があります。
最初は会社の日本人で交代制で担当していたのですが、時間が経つに連れ、新米の私に押し付けられるようになっていきます。しかし、これだけに終わりません。
くわえて、鈴木さんは「アル中の可能性がある」と判断され、デトロイトの中心地でカウンセリングを受けるよう指示されました。問題は「誰がそこまで連れて行くか」です。
結局、私が連れて行くことに。連れて行くだけでなく、私はカウンセリング中、治安の悪い市内で待機する必要もありました。
さらに、鈴木さんは社会奉仕活動への参加を義務付けられました。週末に掃除ペンキ塗りなどの社会奉仕活動しないとならないのですが、これもまた「誰がその場所まで連れていくか」。例にもれず私が担当することになり、もはや私の不満は爆発寸前です。
鈴木さんもこのままでは不味いと思ったのか、個人的に弁護士を雇い、多額の費用をかけ免許を取り返しました。が、すでに一年近くが経ってからの話です。
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人に迷惑をかけてまでお酒を飲みたいか?
以上のような経験を通して、私は飲酒に対しての興味を失いました。
もともと日本にいた時から、それほどお酒を飲む方ではありませんでした。お酒がおいしいと思ったこともそれほどありません。
私には、好きでもないお酒が原因で他人に迷惑をかけることができないため、結局どんどんお酒から足が遠退き、現在のお酒をほとんど飲まない生活になったのです。
以上が、私がお酒を飲まなくなった理由ですが、もう少し飲酒に対する日米の違いについて考察を続けます。
ビジネスの関係はランチで築く文化
日本人駐在員の方は、アメリカでの生活が「飲み」と縁が薄いことに驚かれるようです。一般的にアメリカ人は昼食でビジネスの関係を保とうとしますし、夕食は家族とともにしたがります。
個人主義が徹底しているので、夕食の場でも「いえ、私はお酒をやりませんので」と一言いえば、他人はお酒を強要しません。(ただし一部のセールスの人たちでお酒が好きな方は、大量に飲酒されるようです)
アメリカと日本の住宅事情
日本人は「飲み会」をする際に、誰かの個人宅ではなく飲食店に集まるのが一般的です。これは私は日本での住宅事情が関係しているかと思います。
日本の住宅事情はアメリカと比べてどうしても見劣りします。大勢の人が訪ねると家人の居場所がなくなる可能性があり、どうしても「集まりは外で」になります。
ところがアメリカでは最上のもてなしは自宅でのパーティーですので、どうしても温度差が出てしまいます。他人の家では吐くまで飲むこともできません。こういった諸々の事情がからみ、アメリカでの生活は「お酒と縁のない生活」になってしまうのではないでしょうか。
泥酔 = 身の危険
日本にいた時は、駅のホームで寝ているサラリーマンを度々見かけました。路上で寝たなど自分のお酒にまつわる武勇伝を豪語する方がいらっしゃいましたが、そんなことをアメリカでしたら確実にスリの被害に合います。それどころか身に危険が及ぶこともありうるでしょう。アメリカでは自分の身は自分で守る必要があり、奔放なことがしにくいのです。
以前、日本に一時帰国をした私は、早朝に地元の居酒屋の前でよだれを垂らして眠りこけている若い女性を見かけました。おそらく飲み明かして店員に連れ出されたのでしょうか。
ちょうど駅に向かうところだったので、駅の交番に通報したのですが、なぜ私がそんな些細な事を伝えるのか分からないらしく、当直の警察官が戸惑いの表情とともに聞き流したことを非常に印象深く憶えております。
米国でしたらレイプの可能性がありますが、ここは日本。もしかしたら警察に言わなくてもよかったのかなと考えながら、電車に乗り込みました。
皆様だったらいかがなさるでしょうか。
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この記事を書いた人
初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。