就活はない?ドイツの就職事情3つのポイント

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ヨーロッパの経済大国のひとつであるドイツの就活とはどんなものなのでしょうか?ここでは3つのポイントに沿って、ドイツの学生だけではなく、外国人の学生も体験しているドイツでの就職事情を見てみましょう。

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1.「就活シーズン」はない

就活イメージ

日本では就活シーズンといえば、大学四年生の春学期から始まるものになっていますが、ドイツでは、これといった就職活動を盛んに行われる時期が時に決まっていません。というのも、ドイツでは、はっきりとした卒業シーズンもなければ、就活シーズンもないからです。

なぜなら、ドイツの大学では卒業論文が完成すればすぐ卒業ができるというのが一般的なルールです。なので、例えば10月に卒業論文が終わって提出すれば、12月にはもう卒業証書を受け取ることができ、卒業手続きが終わります。

従って、ドイツで就活というのは、大学の課程を全部終えて、卒業証書を受け取った時点から始まるものであり、みんなバラバラの時期に卒業するので、決まった期間はありません。ドイツでは企業との面接や審査に合格して契約すれば、すぐに入社をすることができます。

ただし、就活期間はないものの、入社シーズンはあると言われています。毎年の8月から9月と11月から12月のほぼ4ヶ月以外は入社シーズンだと言われています。なぜなら、8月と9月はドイツの企業では日本のお盆休みのように、社員が年休(Urlaub)をまとめて取る期間なので、この時期では、人事審査などの仕事はあまりされていません。

11月から12月にかけては年末の時期が来て、どの企業もとても忙しくなります。ドイツでは、日本と違って年度の終わりは12月の終わりとされていますので、クリスマスの休暇までには当年度の全ての仕事を片付けるのは一般的です。

つまり、ドイツでは卒業さえしたならば、すべての人にとって年休シーズンや年末シーズン以外の全ての時期に、企業に就職するチャンスがあるということです。

2.学歴より専攻重視

本をまとめて持っている様子

日本だけではなく、中国や韓国など、アジアの社会では未だに残されている古き伝統の一つ、学歴社会。アジアでは大学のレベルや評判はそれぞれなので、よく「いい大学に入る=いい職業が見つかる」と認識されがちです。

しかし、ドイツでは、このような認識は全くありません。それどころか、エリート大学をわざわざ放棄して他の地方の大学に進学する人がたくさんいます。なぜなら、ドイツ人の学生にとって学業を進めるというのは、エリート大学の卒業証書をもらうものではなく、自分が興味を持つ分野を学んで研究することや、将来就職につながるスキルを身に付けることです。

つまり、ドイツでは、たとえエリート大学からの卒業生でも、適切な専攻ではなければ、就職困難に遭うことは少なくはありません。それに対して、たとえ普通の大学から卒業した学生でも、適切な専攻をしていれば、卒業する前からオファーが来ることも珍しくはありません。

では、「適切」と言われる専攻とは、一体どんなものでしょう?一般的では、理工系は文系よりかなり就職に良いと言われています。特に、理系では情報科学・情報処理学(Informatik)、工系では電気工学(Elektrotechnik)や機械工学(Machinenbau)、この3つは最も就職に有利な専攻と言っても過言ではありません。

ドイツでは卒業した時点から就職活動が始まるとお伝えしましたが、この3つの専攻では例外が多く、卒業する前に既にオファーが来て内定がもらえる学生がよくいます。

文系では、法学(Jura)など、専門度の高い専攻であれば、まだ就職に有利ですが、他の専攻、例えば歴史学や文学などの場合、一旦卒業した後に修士課程や博士課程に進む学生もいますが、将来の就職を考えて、途中で中退したり、別の専攻を変えたりする学生は少なくはありません。

言い換えれば、ドイツの企業とは、理工系の学生にとって、もはや就活天国のようなものとはいえるでしょう。

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3.表現能力より実力重視

ドイツ語の書類

日本で就活をする際、自己PRや面接などの表現に関するスキルを求められます。ほぼ全ての就活生は、常に志望動機を考えて暗記してからいろいろなことをしっかり注意しながら、第一印象を一番よくすることを心がけて、面接を慎重に臨んたりしているでしょう。

以前、筆者はドイツで、このような日本式就活の模擬面接をドイツ人の学生と一緒に準備して受けることがありました。みんなは「こんなことなんてナンセンスだ」だといって、大変驚いていました。ドイツでは、こんなことは全く必要ではないからです。

ドイツの就職面接では、きれいな整容、ちゃんとしたマナーなど、ごく基本的なことすら守っていれば、他のことは面接結果にほとんど影響しないと言われています。というのも、企業が見るのは、個人の表現力ではなく、学生の実力だからです。

ドイツの大学では、学士、修士、文系、理系問わず、課程では実習・インターン(Praktikum)が必要だとされていることが少なくありません。しかも、わずか数日の企業見学などではなく、ちゃんとした期間(6ヶ月が一般的)は必須です。それに加えて、ドイツの企業ではインターンであっても、退職の際「職歴証明書」を発行してもらえます。

この証明書とは、自分が過去にどんな仕事をしたか、どんな能力を職場で発揮できたかなど、全ての職歴を上司が客観的な面で書かれたものです。これをもって、自分の実力を客観的に証明することができます。つまり、ドイツでは、就職の面接で、自己PRや志望動機などより、この証明書一枚でかなり説得力が高く、雇われるかどうかはほぼこの紙一枚で判断されます。

また、ドイツでは学生がインターン先を見つけるのは簡単だが、就職するのは難しいと言われています。なぜなら、ほぼインターン先で書かれた職歴証明書の実力だけで審査されるので、職歴証明書で書かれた実技や能力と、企業が要求するものが一致しないことがあるからです。

例えば、アジアでは外国や支援機構でのボランティア活動、ワーキングホリデーなどはインターン経験として、就活で役にたつかもしれませんが、これらはドイツの就職活動では、職業で問われるスキルが含まれず、ほぼ通用できないものだとされています。

ここで挙げている「職業で問われるスキル」とは、職業によってそれぞれありますが、例えば理工系では、プログラミングは近年かなり重視されています。たとえ大学でスコアが高くなくても、プログラミング知識がしっかり備えていれば、就職に有利とされています。

文系では、特に決まった問われるスキルはありませんが、やはり職歴や過去の職場での実績が重視されます。場合によって外国語能力も問われますが、これは大学での成績で審査されるか、決まった語学試験を受けて成績で証明するなど、さまざまです。

従って、ドイツでの就職とは、ほぼかつての職歴や実力証明(資格など)だけが、すべてを決めているといえます。

まとめ

いかがでしたか?ドイツでは、就職活動は日本と比べて期間が長く、チャンスが多いように見えますが、一方で、学業でもインターンでもしっかりとした知識や実力も身につけなければいけないという厳しい面もあります。

ドイツの企業が実力重視であるからこそ、ドイツの大学での教育や養成の質(クオリティー)がしっかりしているという、一つの良い証拠であると言えますね。

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この記事を書いた人

Sissi
Sissi

Sissiと書いてシシーです。ドイツ・ミュンヘン在住の文系大学院生です。大学時代のドイツ留学でドイツでの学生生活に憧れ、大学卒業直後に渡独。ドイツ語力ゼロからドイツ語試験合格までの一年間の語学留学生活を経て、大学院生になりました。カフェで勉強するのが大好きで、ファッションやメイクも大好きです!ドイツの現地の情報が分からずに困ってる方に向けて、生活情報や学生情報などをたくさんお届けしていきます!

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